ゲームは動詞で作られている、または、あの目配せは何だったのかという件について
こんにちは、渋谷でゲームデザイナーをやっているAKIです。
台風も過ぎ去り、また一段と寒くなりましたね。
昨夜の渋谷は驚くほど冷え込んでいました。
まもなく冬。
昨日のブログではないですが、ハロウィンでコスプレされる方、お風邪をめされないようお気をつけください。
昨日のブログと言えば、ゲームはリアクションである、というお話を書きました。
今日はその続き。
ゲームがリアクションであるなら、そのゲームを作るにはどうすればよいでしょう?
リアクションがあるということは・・・そう、リアクションするための「アクション」が必要ですね。
ということで今日の話。
ゲームは動詞で作られている、というお話です。
ちなみに今日はちょっとだけマニアックな歴史の話もします。
ゲームは動詞で作られている、ということをお話するために、いくつか動詞とゲームの例を出しましょう。
現代のゲームはとても複雑化しているので、話を簡単にするために昔のシンプルなゲームを。
電子ゲームの祖として名前があがるのが、米アタリ社の「ポン」です。
ポンは2人用の対戦卓球ゲーム。
自分の「ラケット」である棒を動かして、跳んできたボールを「跳ね返す」ルールです。
次はもう少しなじみのありそうな「スペースインベーダー」。
宇宙からの侵略者を自分の移動砲台で「撃つ」ゲーム。
操作はシンプルに横移動するか、弾を撃つだけですが、トーチカと呼ばれる陣地(壁で守られている)があり、そこに「避難する」こともできました。
そしてこの手の話で必ず上がるのが「パックマン」。
パックマンが名前の通り食べ物を「食べる」ゲーム。
普段は敵キャラから「逃げ」ながら上手に食べ物を食べていくゲームなのですが、パワークッキーを食べることで、パワーアップして敵キャラまで「食べる」ことができるという、一貫して「食べる」というモチーフでまとめられた超名作です。
ちなみにパックマンの歴史や作られ方に興味のあるかたは、「パックマンのゲーム学」
という本がおススメです。
なんといってもパックマンを作った生みの親、岩谷 徹氏ご自身の著作ですし、ゲーム作りについても色々と書かれているので、このブログが好きな方には参考になりそうです!
最後に、まもなく新作が発売される「マリオ」シリーズについて。
1981年の「ドンキーコング」からその歴史は始まりますが、なんといっても特徴は「ジャンプ(跳ぶ)」。
キャラクターの特徴が動詞一言に集約されるなんて、まさにゲームキャラクターらしいアイデンティティだと感じます。
先に紹介されたパックマンの「食べる」や、星のカービィの「吸い込む」など、他のすばらしい例もたくさんありますね!
ちなみに応用編として、スプラトゥーンは「塗る」と「潜る」など、複数の動詞がワンセットになった例もあります。
スプラトゥーンは、ゲームの目的である「塗る」を繰り返すうちにインクが足りなくなり、インクを補充するためには塗った場所に「潜る」必要があり・・・と、そのアクションの関係性がとにかく素晴らしいです。
他にも、塗った場所に潜ることで「高速移動」できたり、壁を「登る」ことができたり、「塗る」・「潜る」が他の色んなアクションにつながっていきます。
これも作り方が気になる人は、故・岩田聡氏の「社長が訊く」というコーナー、ぜひご覧ください。
最後に重要なことを一つ。
同じ言葉で表される動詞でも、複数の意味合いを持つと、ゲームに奥行きがでます。
たとえば「見る」という動詞を考えてみましょう。
・部屋の中を「見る」ことで、部屋に何があるのかがわかる
・手元の本を「見る」ことで、周囲の人に自分が集中していることを示す
・相手の顔を「見る」ことで、相手に注目していることを示す
・友達グループの中、気になるあの子の顔をちらっと「見たら」、その子と目があってドキッとする
...などなど、時と場合によって、同じ行為でも色んな意味合いが出ますよね。
「見る」という行為に集約されているのでシンプル、だけど色んな意味合いがあって奥深い。
あなたがお好きなあのゲーム、動詞でまとめると何でしょう?
たまにはそんな視点からゲームを見るのも、楽しそうですね!
今日はこんなところで。
また次回の記事でお会いしましょう!
AKI