3年目ゲームデザイナー AKIのブログ

ゲームデザイナー3年目が、エンタメにふれて気づいたことのまとめ

ゲームは動詞で作られている、または、あの目配せは何だったのかという件について

こんにちは、渋谷でゲームデザイナーをやっているAKIです。

 

台風も過ぎ去り、また一段と寒くなりましたね。

昨夜の渋谷は驚くほど冷え込んでいました。

まもなく冬。

昨日のブログではないですが、ハロウィンでコスプレされる方、お風邪をめされないようお気をつけください。

 

昨日のブログと言えば、ゲームはリアクションである、というお話を書きました。

今日はその続き。

ゲームがリアクションであるなら、そのゲームを作るにはどうすればよいでしょう?

 

リアクションがあるということは・・・そう、リアクションするための「アクション」が必要ですね。

ということで今日の話。

ゲームは動詞で作られている、というお話です。

ちなみに今日はちょっとだけマニアックな歴史の話もします。

 

 

ゲームは動詞で作られている、ということをお話するために、いくつか動詞とゲームの例を出しましょう。

現代のゲームはとても複雑化しているので、話を簡単にするために昔のシンプルなゲームを。

 

 

電子ゲームの祖として名前があがるのが、米アタリ社「ポン」です。

ポンは2人用の対戦卓球ゲーム。

自分の「ラケット」である棒を動かして、跳んできたボールを「跳ね返す」ルールです。

 

次はもう少しなじみのありそうな「スペースインベーダー」。

宇宙からの侵略者を自分の移動砲台で「撃つ」ゲーム。

操作はシンプルに横移動するか、弾を撃つだけですが、トーチカと呼ばれる陣地(壁で守られている)があり、そこに「避難する」こともできました。

 

そしてこの手の話で必ず上がるのが「パックマン」。

パックマンが名前の通り食べ物を「食べる」ゲーム。

普段は敵キャラから「逃げ」ながら上手に食べ物を食べていくゲームなのですが、パワークッキーを食べることで、パワーアップして敵キャラまで「食べる」ことができるという、一貫して「食べる」というモチーフでまとめられた超名作です。

 

ちなみにパックマンの歴史や作られ方に興味のあるかたは、「パックマンのゲーム学」

という本がおススメです。

なんといってもパックマンを作った生みの親、岩谷 徹氏ご自身の著作ですし、ゲーム作りについても色々と書かれているので、このブログが好きな方には参考になりそうです!

 

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最後に、まもなく新作が発売される「マリオ」シリーズについて。

1981年の「ドンキーコング」からその歴史は始まりますが、なんといっても特徴は「ジャンプ(跳ぶ)」

キャラクターの特徴が動詞一言に集約されるなんて、まさにゲームキャラクターらしいアイデンティティだと感じます。

先に紹介されたパックマンの「食べる」や、星のカービィ「吸い込む」など、他のすばらしい例もたくさんありますね!

 

 

ちなみに応用編として、スプラトゥーン「塗る」「潜る」など、複数の動詞がワンセットになった例もあります。

スプラトゥーンは、ゲームの目的である「塗る」を繰り返すうちにインクが足りなくなり、インクを補充するためには塗った場所に「潜る」必要があり・・・と、そのアクションの関係性がとにかく素晴らしいです。

他にも、塗った場所に潜ることで「高速移動」できたり、壁を「登る」ことができたり、「塗る」・「潜る」が他の色んなアクションにつながっていきます。

これも作り方が気になる人は、故・岩田聡氏の「社長が訊く」というコーナー、ぜひご覧ください。

 

 

最後に重要なことを一つ。

同じ言葉で表される動詞でも、複数の意味合いを持つと、ゲームに奥行きがでます。

たとえば「見る」という動詞を考えてみましょう。

 

・部屋の中を「見る」ことで、部屋に何があるのかがわかる

・手元の本を「見る」ことで、周囲の人に自分が集中していることを示す

・相手の顔を「見る」ことで、相手に注目していることを示す

 ・友達グループの中、気になるあの子の顔をちらっと「見たら」、その子と目があってドキッとする

 

...などなど、時と場合によって、同じ行為でも色んな意味合いが出ますよね。

「見る」という行為に集約されているのでシンプル、だけど色んな意味合いがあって奥深い。

 

 

あなたがお好きなあのゲーム、動詞でまとめると何でしょう?

たまにはそんな視点からゲームを見るのも、楽しそうですね!

 

 

今日はこんなところで。

また次回の記事でお会いしましょう!

 

AKI